酒井剛志の電気通信

酒井剛志の電気通信です。今、我々に求められているのは長い視野に立った、地球のマネジメントではないでしょうか。日本がどうなるかではなくて、地球のマネジメント、地球の経営です。

伊藤ビル株式会社/酒井剛志

伊藤ビル株式会社の札幌支店の人材基盤経営について考えます。

日本企業の本質的な課題

最近、日本企業の業績が好調です。

しかしこの業績回復は一時的で、本質的な課題はほとんど解決されていない、そしてもはや多くの日本企業に世界の競合に勝てるだけの力は残されていない、という危機感を抱いている人は多いのではないでしょうか。

酒井事務所では、こうした一見順調そうに見える日本企業が抱えている問題を、人と組織の観点から分析し、日本企業が今後本当の意味で長期的に繁栄していくにはどうしたらよいかについての提言を試みています。

伊藤ビル株式会社

戦略経営

私たちは、ここ数年の日本企業の業績回復を牽引した「戦略経営」では短期的な成果しか得られない、と考えています。

長期的な繁栄のためには、経営者が指示を出さなくても社員が協力し、経営者も気づかない機会や問題を発見し、解決しなければならないのです。

つまり、ボトムアップで利益を生み出していく形です。そして経営者が抱える経営責任を担ってくれる「人材基盤経営」が不可欠だと考えます。言ってみれば、欧米流のトップダウンマネジメントだけでは限界がある、ということです。

ボトムアップマネジメント

日本が得意としてきたミドル層を中心としたボトムアップマネジメント、さらには即戦力の名のもとにこのところ疎かにされてきた人材育成についても再考しようという段階です。このような「人材基盤経営」は、実はIBMやGEといった欧米企業のほうがはるかに進んでいます。

パナソニックなど

日本企業の中にも、トヨタパナソニック武田薬品など、熱心に取り組んでいる企業があり、非常に心強いです。伊藤ビル株式会社の札幌支店も、同じような取り組みを行っています。

日本企業の経営者、人事担当者には、それらの提言を参考に、自社の課題にしっかりと取り組み、「人材基盤経営」の確立を目指してもらいたいと考えています。


酒井剛志

美徳復活道/酒井剛志

バブル期以前に日本経済は「世界のお手本」とまで言われ、1980年代には世界最強を誇りました。そんな日本経済が、なぜ国際競争力を失い、追い込まれてしまったのでしょうか。

停滞は1980年代から

経産省(当時:通産省)元次官の福川伸次氏は日本の停滞は1980年代から始まったと考えています。日本の社会全体に“おごり”があったといいます。

拝金主義がはびこった

エズラ・ボーゲルの『ジャパン・アズ・ナンバーワン』が出たのが1979年。

1985年のプラザ合意で急速な円高に向かい、経済が苦境に陥った時に徹底的に構造改革をしようという意識が産業界に芽生えました。

しかし、その後に景気対策の大合唱が出て、バブル経済に続く政策的な失敗がありました。社会に拝金主義、利益優先主義がはびこってしまったのです。

「前川リポート」の後が続かず

政治も同じ。1955年体制の崩壊を頂点にして、自民党が政策より権力にしがみつくようになってしまいました。

また行政も、本当なら1980年代半ばに構造改革をする必要がありました。『前川リポート』は1986年のことです。

それなのに規制緩和を先送りし、米国からの外圧に合わせるだけで本質を変えようとしませんでした。ヤングリポートやレーガン改革など、きちんと戦略を立てた米国とは大きく違います。

日本の潜在力が高い理由

とはいえ、日本経済の潜在力は高いと思います。

第1に、日本人は複数の知識を融合して、その中から新しい知識を生み出す能力があります。それは戦後の復興期だけでなく、奈良・平安時代安土桃山時代、明治時代などすべてそうです。

武士道や商人道

第2に、日本は自己規律や自己研鑽という美徳があります。つまり真面目に生活し、仕事をすることです。武士道、商人道などの「道」の文化です。華道や茶道も同じことが言えます。

第3に、人と人との関係を大切にする。自分の属する社会や集団を大事にする。これは社会の安定に寄与します。

第4に、自然との共生です。

AI時代に最適

これらはAI時代に非常にふさわしい能力といえるでしょう。新たな知識を生み出し、自己の生活を向上させ、また人と人とのコミュニケーションを活発にすることは、AIの最も得意とするところです。

日本の優れた美徳は、1980年代のバブル時代から覆い隠されてしまいました。社会システムの改革とともに、日本の昔ながらの美徳を取り戻すことが必要なのです。

 

酒井剛志

戦後日本のCI~酒井剛志

最近は、過度に働くのをやめようではないかという風潮が強いです。戦後の日本が目標としてきたターゲットや理念は変わりました。その結果、日本企業のCI(コーポレート・アイデンティティ)をめぐる姿勢、戦略も変わりました。

欧州とアメリカの違い

ヨーロッパは言葉が国境を越えるたびに変わります。そのため、歴史的にシンボルが発達しています。

一方、アメリカは一つの言葉で通用します。だから、ロゴ(文字を使うサイン計画、コミュニケーション)が基本的に使われます。

戦後初期の道路標識は言葉

日本は、敗戦でアメリカの占領下になったため、初めの道路標識は言葉でした。そのうえにサイン性が出てきました。

このサインは国連方式と言われているものです。それをアメリカも採用し、日本も採用して、いまのようなサインになっています。

紋章

もともと日本には紋章がありました。しかし、その当時からCI(コーポレート・アイデンティティ)計画というものがあったわけです。

戦国時代の映画などを見ると、印のついた旗ざおを押し立てて戦争をしています。

邪道と外道

日本には一つの道を極めるという文化があるので、正々堂々と戦うという「道」がありました。

それにはずれるのは邪道であり、その人間を外道などといいます。

忍者が必要

戦略に勝つには外道、つまり忍者が必要でした。

天井裏や床の下に入り込んで攻め方などもさぐってきます。これからのCIは、そういうことを考える必要があると思います。

旗じるしの重要性、機能性は大いに考えていかなければなりません。

国際化ということを本当に考えると、これはむずかしい問題だなという感じがします。

酒井剛志



外国のものを吸収

日本は島国だから神代には国引きをしました。つまり外国のものをみんな吸収しました。

だから日本の語学は読み書きができればよかったのです。外国の言葉で会話ができなくても、外国の知識を読んで理解ができ、書ければいいという教育でした。

こういう日本の考え方を真剣に見直していかなければならない時代になっていると思います。

社長の趣味ではない

政治も経済も教育も「遊ぼう」といっています。

そのなかでCIというものをどう考えるか、シンボルをどう考えるかという問題があるわけです。

アイデンティティは、作戦に勝つためにやるのです。文化的にとか社長の趣味とかでやるわけではありません。

 

酒井剛志